身体の中で糖質に変わるエネルギーとして、今、注目をされているのが『ケトン体』です。
しかし、、、、
「耳にしたことはあるけど・・・」
「ケトン体ってなんなの?」
「ケトン体って、何かいいことあるの?」
といった方も多いと思います。そこで、糖質に変わるエネルギーであるケトン体は一体、「どのような物なのか?ケトン体は何が良いのか?」について、見ていきたいと思います。
目次
『ケトン体』って何だろう?
通常、人間は食べたものを分解してブドウ糖(グルコース)を作り、エネルギーとして使用します。ブドウ糖は主に炭水化物(ご飯や麺類など)を分解してつくられます。
しかし困ったことに、ブドウ糖はそのままの形だと身体に蓄えておく事ができないのです。
食べた物をエネルギーとして身体に蓄えられないと、生きていく上で都合が悪いので、形を変えて蓄えます。
どのような事かというと、ブドウ糖の摂取量が多くなり、摂取したエネルギーが使う分より多くなると、肝臓や筋肉にグリコーゲンという形に変換して、エネルギーが貯蔵されます。
それでも余った分が脂肪として、身体に蓄えられます。
- ブドウ糖はそのままの形では身体の中に蓄えられない
- 身体の中の余剰なブドウ糖は、「グリコーゲン→脂肪」と形を変えて、蓄えられていく。
エネルギーを使用する順番も蓄える時と同じで、「ブドウ糖→グリコーゲン→脂肪」という順番で使用していきます。なので、通常はブドウ糖やグリコーゲンをエネルギーとして使用します。
ブドウ糖やグリコーゲンはエネルギーとしては優秀です。しかし、ブドウ糖はそのままでは貯蔵できない。グリコーゲンは貯蔵タンクが小さいので、すぐに一杯になってしまうという欠点があります。
したがって、両方ともエネルギーの貯蔵には向いていない物質です。なので、その2つだけだと、食料が無くないとすぐに飢え死にしてしまいます。
ブドウ糖やグリコーゲンが無くなってきたガス欠状態の時に登場するのが、脂肪を分解して肝臓で作られるエネルギーの「ケトン体」です。
2系統の動力回路で走るハイブリッドカーが「人間」で、パワーはあるが燃費の悪いガソリンが「ブドウ糖」、パワーはあまりないが長時間走れる電気が「ケトン体」と考えるとわかりやすいですね!
- 私達には、『ブドウ糖回路』と『ケトン体回路』の2系統のエネルギーがある
- エネルギー使用の順番は、「ブドウ糖・グリコーゲン・脂肪」という順番
- ケトン体は、「ブドウ糖・グリコーゲン」の代わりに使われるエネルギー
- ケトン体は、脂肪を分解して肝臓で作られるエネルギー
ケトン体についてお判りいただけたでしょうか?
※ブドウ糖(ガソリン)での回路を「ブドウ糖回路」、ケトン体(電気)での回路を「ケトン体回路」と呼んで解説します。
『ケトン体回路』に切り替わると起きる良い事とは?痩せ体質になるってホント!?
以下にケトン体回路に切り替わると起きる2つの良いポイントをまとめたので、順番に見ていきましょう!!
- 痩せやすく、太りにくい体質になる!
- リラックス効果があり、安らぐ!
①痩せやすく、太りにくい体質になる!
糖質がなくなってくると、ケトン体回路のスイッチが入ります。
ケトン体は脂肪が分解されて作られるエネルギーなので、体内の余分な脂肪分を分解してエネルギーに変えて行きます。
つまり、脂肪が減って、瘦せていくという事です。
痩せやすい体質になるとはどういう事なのですか?
一度ケトン体回路のスイッチが入ると、身体はすぐにはそのスイッチをoffにしません。なので、しばらくケトン体回路はonの状態が続くのです。
具体的にどのような事かというと、普段はブドウ糖回路だけで走っているのですが、ブドウ糖がなくなってくると、ケトン体回路のスイッチが入ります。
一旦スイッチが入ると、身体はそのスイッチを完全にはオフにしないので、ブドウ糖があるときでもケトン体を使うようになります。つまり、通常時でも2系統のエネルギーを使うようになるのです。
通常時でも2系統のエネルギーを利用するため、以前より脂肪を分解する力が強くなり、太りにくい体質になる、という事に繋がるのです。
医学博士であり、元日本綜合医学会会長の甲田光雄先生は自らの著書の中で、こう仰っています。
断食を行うと、糖質をエネルギーとして利用できないため、脂肪を分解してエネルギーとして利用するようになってきます。
単にとり入れる栄養素を少なくしたからというだけでなく、体質が変わり、体内のエネルギー利用の仕方が変わってくることによっても、体脂肪がへってくるのです。
参考:奇跡が起こる半日断食―朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている! (ビタミン文庫) 単行本 – 2001/12/1 甲田 光雄 (著)

日暮さんは毎日カロリー制限をしていて、高木さんは週1回の半日断食のみです。
高木さんは断食道場に年2・3回のペースで通い続けています。
自宅では週に1回半日の断食をしていて、その日はお茶以外口にせず、夜だけ普通に食べるという断食です。
断食を始める前は66キロあった体重が、断食を始めて5キロ減量。しかも、8年間同じ体型を維持できているそうです。
同じ様な食生活をしていても、年齢とともに代謝は落ちていきますからね。
ケトン体回路のスイッチをいれ、脂肪を燃焼しやすい体質に!
そして、ケトン体回路の効果は残るという性質を上手く利用して、理想の体型を維持していきましょう!!
ケトン体と痩せ体質についての実験データは「【美と若さの新常識】断食はダイエットにあらず体質改善レポ | ちゃっかりママの地方で育脳」のサイトで、詳しく解説されているので、気になる方は覗いてみて下さい。
②リラックス効果があり、安らぐ!
この2つの言葉の距離は遠い感じがしますが、どのような関係があるのでしょうか?
私たちの「脳」も身体と同じように、通常はブドウ糖をエネルギー源としています。
「脳」は贅沢なので、ブドウ糖しかエネルギーとして受け付けてくれません。
なので、脳は100%ブドウ糖運転だと長い間信じられてきました。
しかし、断食という異常事態で、「ブドウ糖が身体の外から入ってこない状態になると、脳はブドウ糖以外のエネルギーを使い始める」という事が、最近の研究でわかりました。
そう、脳がブドウ糖の代わりに使い始めるエネルギーも「ケトン体」なのです。
カナダのオーエンス博士が断食中に脳が何をエネルギー源として使うかという研究を行った結果では、50%はケトン体のβヒドロキシ酪酸で、αアミノ窒素、アセト酢酸がそれぞれ10%、ブドウ糖を使ったのはたった30%に過ぎません。
参考:奇跡が起こる半日断食―朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている! (ビタミン文庫) 単行本 – 2001/12/1 甲田 光雄 (著)
ケトン体をエネルギー源として使っている時の脳は、α波が増え、βエンドルフィンという物質の分泌量が増えます。
この2つが増える事で、「リラックス効果・幸福感」を得ることが出来ます。
それでは、ケトン体をエネルギー源に使用している時に増える、「α波・βエンドルフィン」に注目してみましょう!
「α波」って何だろう?
α波は脳波の波形の一つで、リラックスしている時、集中力が高まった時、禅やヨガなどを行った時、などに多く検出されます。
さらに、ストレス解消や免疫力を高めてくれるという効果もあり、注目を集めています。
α波について詳しく知りたい方はこちらです。
「βエンドルフィン」って何だろう?
では、もう一つのβエンドルフィンというのは何なのでしょうか?
βエンドルフィンは、「快感物質・幸福物質・脳内モルヒネ」など、様々な名で呼ばれています。
幸せを感じた時、苦痛やストレスを和らげる時などに出ます。
マラソン中に起きる「ランナーズハイ」は、βエンドルフィンの増大によるものです。
ケトン体をエネルギー源とした脳は、脳波の一つであるα波をふやし、脳下垂体からはβエンドルフィンとという物質の分泌量がふえることもわかってきました。
α波はリラックスの脳波で、βエンドルフィンは快感物質といわれます。
参考:奇跡が起こる半日断食―朝食抜きで、高血圧、糖尿病、肝炎、腎炎、アトピー、リウマチがぞくぞく治っている! (ビタミン文庫) 単行本 – 2001/12/1 甲田 光雄 (著)
普段はあまり嬉しくない空腹感ですが、それが、ケトン体回路への切り替えのスイッチです。
「空腹感を感じたら、切り替えのスイッチが入った!!」と思うようにして、上手く空腹感付き合っていき、身体の中でエネルギー革命を起こして行きましょう!
- 2系統の回路を使う事で、痩せやすく太りにくい体質になる!
- α波・βエンドルフィンで精神的な「安息感・幸福感」を得る!
『ブドウ糖回路』から『ケトン体回路』に切り替わる仕組み
ここで思い出していただきたいのが、ガス欠状態の時に登場するのが、ケトン体という事です。なので単純に、ガス欠状態にすればよいのです。つまり、ケトン体回路に切り替える1番の近道は、ブドウ糖を空にする事です。
しかし普通に生活をしていると、食事などからブドウ糖が定期的に補充され、余剰分はグリコーゲンとして蓄えられてしまいます。
つまり、3食きちんと食事をしていると、ブドウ糖は空にならず、ケトン体回路に切り替わらないのです。
単純にブドウ糖を補充しなければ良いのです。
つまり、「断食・小食・糖質制限」などの食事制限です。
補充されないから無くなっていくのは、当然と言えば当然ですね。
すると、身体が勝手にケトン体回路に切り替えてくれます。
なにせ、エネルギーがなくなるという事態は生命活動の危機ですからね。
ふつう、われわれはエネルギー源としてブドウ糖を使います。
しかし、それがなくなってしまうと脳が働かなくなるので、その代替エネルギーが脂肪から作るケトン体です。
参考:断食のメモリーと「ケトン体」 | 美と若さの新常識~カラダのヒミツ~|NHKブログ
それでは、ケトン体についてまとめてみましょう!!
- 日常生活ではブドウ糖は空になりにくい
- ブドウ糖を空にする簡単な方法は食事制限
- 食事制限で代表的なものは「断食・小食・糖質制限」の3つ
【ケトン体を増やす方法】3種類の断食のやり方を紹介
- 本断食 |難易度:
3日間は食を断ち、その間はドリンクのみで生活をする
⇒「本断食のやり方」 - 1日断食|難易度:
1週間の中で1日は食を断ち、その日はドリンクのみで生活をする
⇒「1日断食のやり方」 - 半日断食|難易度:
1日の中で18時間は食を断ち、その間はドリンクのみで生活をする
⇒「半日断食のやり方」
断食のやり方は大きく分けて3通りあり、初心者の方に向いているのは「②1日断食」「③半日断食」であり、後者は「プチ断食」と言われ取り組まれている方も多い断食方法です。
それぞれの断食の詳しいやり方は、黒板のリンクからご確認いただけます。
こちらでは、簡単な流れと共に紹介したいと思います。
「本断食」のやり方
本断食では、3日以上の期間なにも食べないで過ごすことになります。
そして、その後3日間の回復食を挟み、普通の食生活に戻していきます。
朝 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
---|---|
昼 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
夜 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
備考 | 塩分補給の為、どこかしらで梅干しや具なし味噌汁を飲む |



朝 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
---|---|
昼 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
夜 | 回復食(お粥) |
備考 | 回復食は昼でもOK |



「1日断食」のやり方
1日断食では、1週間のうち1日だけを何も食べないで生活することになります。
そして、断食をした翌日は回復食を挟み、普通の食生活に戻していきます。
前日の夜 | 控えめ or 食べない |
---|---|
朝 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
昼 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
夜 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
備考 | 塩分補給の為、どこかしらで梅干しや具なし味噌汁を飲む |
朝 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
---|---|
昼 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
夜 | 回復食(お粥) |
備考 | 回復食は昼でもOK |
月曜 | 朝は抜き、昼か夜に回復食に入る |
---|---|
火曜 | 普通に食べる |
水曜 | 普通に食べる |
木曜 | 普通に食べる |
金曜 | 普通に食べる |
土曜 | 小食に過ごす |
日曜 | 1日断食 |
「半日断食」のやり方
半日断食では、1日の中で18時間は何も食べない時間を作ります。
朝 | 時間帯に関係なく水分補給(または酵素ドリンク)を飲む |
---|---|
昼 | 普通に食べる(13時) |
夜 | 普通に食べる(19時) |
備考 | 夜~昼までの間が18時間は空くようにする |
朝食を抜くだけ(18時間空けるために夕食を早くする必要もある)なので、3つの断食方法の中で一番ポピュラーなやり方です。
いきなり朝食を抜くのがキツイと感じる方は、以下の様に徐々に朝食を固形食から流動食に変えていくのがおすすめです。
Step① | 今までの朝食を半分にする |
---|---|
Step② | 固形食ではなく流動食よりにしていく(ヨーグルトなど) |
Step③ | 低速ジューサーでフレッシュな野菜ジュース or 酵素ドリンク |
Step④ | ミネラルウォーターだけでも大丈夫な状態 |
【体験談】ケトン体が増えた!?3通りの断食を全て試した効果
- 本断食(3日間の断食+3日間の回復食)
- プチ断食(119日間の半日断食+たまに1日断食)
まずは、①本断食の効果からお伝えし、その後に②プチ断食の効果についてお話していきたいと思います。
①本断食(3日間の断食+3日間の回復食)の効果
体重 | 体脂肪 | |
断食1日目 | 63.2 | 18.9 |
断食2日目 | 62.7 | 18.2 |
断食3日目 | 62.9 | 18.5 |
回復食1日目 | 62.8 | 17.8 |
回復食2日目 | 62.3 | 17.9 |
回復食3日目 | 61.8 | 17.6 |
本断食では「体重:-1.4kg」「体脂肪:-1.3%」という結果になりました。
体重と体脂肪以外にも色々と測定していたので、当時の写真も載せていきます。
断食1日目(初日)

体重 | BMI | 体脂肪 |
63.2 | 23.5 | 18.9 |

筋肉 | 骨量 | 内臓脂肪 |
48.6 | 2.7 | 8.5 |

代謝 | 体年齢 | 水分 |
1419 | 34 | 56.4 |
回復食3日目(最終日)

体重 | BMI | 体脂肪 |
61.8 | 23.0 | 17.6 |

筋肉 | 骨量 | 内臓脂肪 |
48.3 | 2.7 | 7.5 |

代謝 | 体年齢 | 水分 |
1408 | 32 | 58.2 |
本断食で起きた好転反応
好転反応で多い症状としては、頭痛・腰痛・吐き気・寒気・・・など色々とありますが、基本的には「その人の調子が悪い部分が悪化した様な症状」が出ます。
私の場合は、「鼻炎・体調・眼精疲労・歯茎の痛み」として好転反応が現れました。
断食1日目 |
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---|---|
断食2日目 |
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断食3日目 |
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回復食1日目 |
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回復食2日目 |
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回復食3日目 |
|
どの好転反応も1日前後、長くても1.5日ぐらいの期間で症状が和らぎ、その後は好転反応が出る前の状態と比べると、比べ物にならないぐらい調子が良い状態へと変わりました。

本断食についての詳しいやり方・体験談については、こちらの記事でお話しております。
②プチ断食(119日間の半日断食+たまに1日断食)の効果



119日間(なるべく)毎日半日断食を行い、後半は(たまに)1日断食も混ぜていきました。
その結果、「体重:-10.6kg」「体脂肪:-6.4%」という結果になりました。
半日断食1日目(初日)

体重 | BMI | 体脂肪 |
70.2 | 26.1 | 23.4 |
半日断食119日目(最終日)

体重 | BMI | 体脂肪 |
59.6 | 22.2 | 17.0 |
半日断食では、本断食の様な強い好転反応を感じることは特にありませんでした。
しかし、ダイエット効果以外にも、肌がキレイになっていったり、花粉症が軽減したり、肩こりがなくなったり、偏頭痛がなくなったりと、その他うれしい副産物の様な効果がたくさんありました。

半日断食の詳しい体験談については、こちらの記事でお話しております。
断食を通してケトン体が増えたと感じた3つのポイント
- ケトン体が増え、脂肪が燃えやすくなった!
- α波により、集中力が上がりイライラが減った!
- β波により、日々の考え方がポジティブになった!
ここからは数値で表現できない体感での効果(と、言うより感想に違いです)をお伝えしていきたいと思います。
①ケトン体が増え、脂肪が燃えやすくなった!

こちらは、ここまでにご紹介させていただいた本断食&半日断食でのダイエット効果が物語っています。
特に半日断食119日間については、119日間もあったので人との予定により毎日完璧に行うことは不可能でした。
しかし、半日断食が出来なかった時も、以前より体重・体脂肪が落ちやすいと感じました。
これは今までのブドウ糖回路にプラスして、ケトン体回路も動き出した結果だと思います。
②α波により、集中力が上がりイライラが減った!

断食を生活に取り入れる様になってから、集中力はかなり良くなっていきました。
集中力だけでなく、頭がクリアになり回転も速くなったように感じます。(他人と比べてというより、今までの自分と比べてというレベルです。)
また、断食により睡眠が深くなって朝からスッキリしていることも関係があるかもしれませんが、以前より小さいことにいちいちイライラすることがなくなりました。
③β波により、日々の考え方がポジティブになった!

以前までは頭で考えてマイナスな事を思い浮かべて、結局思いついたことも実行しないということが多くありました。
断食を生活に取り入れてからは、身体が軽くなったこともありますが、以前より心も考え方もポジティブになり行動力のある人になれたと思います。(こちらも、他人と比べてというより、今までの自分と比べてというレベルです。)
